がんの治療中、運動できている人は3人に1人? 続けにくい理由と、続けるヒント

一般の方向け:がんの治療中、運動できている人は3人に1人? 一般の方向け

「運動したほうがいいのはわかっているけれど、なかなか続かない」——そう感じていませんか?

がんの治療中は、だるさや痛みもあって、体を動かすのがつらい日もありますよね。

今回は、がんの患者のうち、すすめられている量の運動ができていたのは約3人に1人だったという海外の研究を、やさしく紹介します。

※この記事は研究の紹介です。ご自身の治療やリハビリについては、必ず主治医・担当の医療スタッフにご相談ください。

プロフィール画像:聴診器をかけたスクラブ姿の理学療法士「ゆた」のイラスト

ゆた
理学療法士・博士(医学)
大学病院で、がん専門領域のリハビリテーションを行っています
がんリハビリテーション(がんリハ)について、一緒に学んでいきましょう

この記事のポイント

  • すすめられている量の運動ができていた人は、約3人に1人でした
  • 運動ができない理由として多かったのは、「興味がわかない」「続ける気持ちが保てない」「痛み」「だるさ」でした
  • リハビリの専門の医師が関わっていた人は、運動している人が多い傾向がありました

そもそも、どれくらいの運動がすすめられているの?

海外のがんの運動のガイドライン(専門家がまとめた目安)では、がんの治療中や治療後の方に、次のような運動がすすめられています[1]。

  • 少し息がはずむくらいの運動(早歩きなど)を、1週間で合計150分(1日あたり約20分)
  • 筋トレを、週に2回以上

日本のガイドラインでも、抗がん剤や放射線の治療中に運動を行うことがすすめられています[2]。

ただし、これは「目標」です。体調や治療の内容によって、できる運動は一人ひとり違います。

どんな研究?

  • アメリカの、がんの専門病院で行われた研究です
  • がんの患者200人に、どれくらい運動しているか、運動を続けにくい理由は何かを聞きました
  • 参加した人の多くは、治療を受けている最中の方でした(約7割)。進行したがんの方も多く含まれていました

わかったこと

① すすめられている量の運動ができていたのは、約3人に1人

200人のうち、すすめられている運動の量(週150分以上)を満たしていたのは68人(約34%)でした。

運動の大切さについて、医師から説明を受けていた人は9割近くいたにもかかわらず、です。

② 運動を続けにくい理由

多かったのは、次の4つでした。

  • 運動に興味がわかない
  • 続ける気持ちを保つのがむずかしい
  • 痛みがある
  • だるさ(疲れやすさ)がある

そして、こうした「理由」をたくさん抱えている人ほど、運動ができていない傾向がありました。

③ リハビリの専門の医師が関わると、運動する人が多かった

リハビリテーション科の医師の診察を受けていた人は、週60分以上運動している人の割合が高い傾向がありました。

ゆた
ゆた

「わかっていても続かない」のは、意志が弱いからではありません。痛みやだるさなど、がんならではの理由があるんですね。

この研究から言えること・言えないこと

言えること

  • がんの治療中の方にとって、すすめられている量の運動を続けるのは、簡単ではない
  • 運動が続かない背景には、気持ちの面と、痛み・だるさなど体の面の両方がある

言えないこと

  • 1つの国の、1つの病院で行われた研究なので、日本の患者にそのまま当てはまるとは限りません
  • 「リハビリの医師にかかれば運動が増える」と、はっきり言えるわけではありません(もともと運動に前向きな人が受診していた可能性もあります)

治療中の方・ご家族へ

  • 「週150分」は大きな目標です。まずは「今より少しだけ体を動かす」ことから、担当の先生やリハビリのスタッフと一緒に考えてみましょう
  • 痛みやだるさで動けないときは、それ自体を担当の先生に伝えてください。症状をやわらげる方法が見つかることもあります
  • ひとりで続けるのがむずかしいときは、リハビリのスタッフやご家族と一緒に取り組むのも一つの方法です
  • 次のようなときは、無理をせず運動を休み、担当のスタッフに相談してください
    • 強い痛みがある
    • 熱がある
    • 息切れやめまい、ふらつきがある
    • いつもより強いだるさがある

まとめ

  • がんの治療中、すすめられている量の運動ができている人は約3人に1人でした
  • 続かない理由には、気持ちの面と、痛み・だるさなどの体の面があります
  • 無理のない範囲で、医療スタッフと相談しながら「できること」から始めましょう
ゆた
ゆた

運動は「たくさん」より「続けること」が大切です。つらいときは、遠慮なくリハビリのスタッフを頼ってくださいね。

※この記事は研究の紹介です。ご自身の治療やリハビリについては、必ず主治医・担当の医療スタッフにご相談ください。

▶ 医療従事者向けの詳しい解説はこちら:「がん患者の3人に1人しか十分な運動が行えていない?」

参考文献

  1. Rock CL, Thomson CA, Sullivan KR, et al. American Cancer Society nutrition and physical activity guideline for cancer survivors. CA Cancer J Clin. 2022;72(3):230-262. doi: 10.3322/caac.21719
  2. 日本リハビリテーション医学会 がんのリハビリテーション診療ガイドライン改訂委員会, 編. がんのリハビリテーション診療ガイドライン. 第2版. 東京: 金原出版; 2019. Available from: https://www.jarm.or.jp/document/cancer_guideline.pdf

今回、紹介した論文

● タイトル:Exercise Barriers and Adherence to Recommendations in Patients With Cancer.

● 著者:Ng AH, et al.

● ジャーナル:JCO Oncol Pract

● 発行年:2021

● PMID:33739853

● DOI:10.1200/OP.20.00625

▶ 一般の方向けの記事をもっと読む:「一般の方へ ― はじめにお読みください」

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理学療法士・博士(医学)
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