手術のあと、よく動く人ほど早く退院できる? 入院中の「動いた量」を調べた研究

一般の方向け:手術のあと、よく動く人ほど早く退院できる? 一般の方向け

「手術のあとは、安静にしていたほうがいいのでは?」

「リハビリで『歩きましょう』と言われるけれど、本当に意味があるの?」

今回は、手術のあとに入院中よく体を動かしていた人ほど、入院の日数が短い傾向があったという海外の研究を、やさしく紹介します。

※この記事は研究の紹介です。
ご自身の治療やリハビリについては、必ず主治医・担当の医療スタッフにご相談ください。

プロフィール画像:聴診器をかけたスクラブ姿の理学療法士「ゆた」のイラスト

ゆた
理学療法士・博士(医学)
大学病院で、がん専門領域のリハビリテーションを行っています
がんリハビリテーション(がんリハ)について、一緒に学んでいきましょう

この記事のポイント

  • 手術のあとの入院中に、体に付けた機械で「どれだけ動いたか」を測った研究を6つ集めて調べました
  • 6つのうち4つの研究で、よく動いていた人ほど、入院の日数が短い傾向がありました
  • ただし、「動けば必ず早く退院できる」とまでは言えません

そもそも、どうやって「動いた量」を測るの?

  • 腕や太もも、腰などに、歩数計を高性能にしたような小さな機械を付けて測ります
  • 歩いた歩数や、立っていた時間などを、一日中自動で記録できます
  • 「何歩くらい歩けた?」と聞くよりも、正確に動いた量がわかります

どんな研究?

  • イギリスの研究グループが、これまでに発表された研究を集めてまとめた研究です
  • 条件に合った6つの研究、合わせて約340人の結果をまとめました。平均年齢は68歳くらいです
  • 手術の種類はさまざまで、肺や胃腸などの手術のほか、心臓の手術、足の骨折や人工ひざ関節の手術なども含まれています。がんの手術だった人が何人いたかは、書かれていません

わかったこと

① よく動いていた人ほど、入院の日数が短い傾向があった

6つのうち4つの研究で、手術のあとに立っている時間が長い人や、よく歩いていた人ほど、入院の日数が短い傾向がありました。

たとえば肺の手術を受けた約100人の研究では、あまり動いていなかった人は、入院がおよそ1日長くなっていました。

② 関係がはっきりしなかった研究もあった

残りの2つの研究では、はっきりした関係は見られませんでした。
どちらも参加した人が10〜20人と少ない研究でした。

ゆた
ゆた

手術のあとの「起き上がる」「歩く」は、回復の大切なサインなんですね。

この研究から言えること・言えないこと

言えること

  • 手術のあとに入院中どれだけ動けているかは、回復の様子を知る手がかりになりそう

言えないこと

  • 「たくさん動けば、必ず早く退院できる」とは言えません。回復が順調な人ほど動きやすかった、という可能性もあるためです
  • 集めた研究はどれも小さく、確かさは高くありません
  • がんの手術だけを調べた研究ではありません
  • 退院の時期は、手術の方法や病院の方針、ご家庭の状況などでも変わります

手術を受ける方・ご家族へ

  • 手術のあとに「いつから、どのくらい動いてよいか」は、手術の内容や体の状態によって違います。担当の先生やリハビリのスタッフに聞いてみましょう
  • 自己流で無理に歩くのではなく、スタッフと一緒に、少しずつ動く量を増やしていくことが大切です
  • 歩数計や、1日に歩いた回数のメモなど、「動いた量」を記録しておくと、スタッフとの相談にも役立ちます
  • 次のようなときは、無理をせず休み、担当のスタッフに相談してください
    • 強い痛みがある
    • 熱がある
    • 息切れやめまい、ふらつきがある
    • いつもより強いだるさがある

まとめ

  • 手術のあと、よく動いていた人ほど入院の日数が短い傾向がありました
  • ただし、「動けば必ず早く退院できる」とまでは言えません
  • 動く量は、医療スタッフと相談しながら、少しずつ増やしていきましょう
ゆた
ゆた

手術のあとは、できることを一つずつ。
一緒に回復の一歩を積み重ねていきましょう。

※この記事は研究の紹介です。
ご自身の治療やリハビリについては、必ず主治医・担当の医療スタッフにご相談ください。

▶ 医療従事者向けの詳しい解説はこちら:「手術後の身体活動量が入院期間に与える影響とは?」

今回、紹介した論文

● タイトル:The relationship between physical activity and post-operative length of hospital stay: A systematic review.

● 著者:Abeles A, et al.

● ジャーナル:Int J Surg

● 発行年:2017

● PMID:28689861

● DOI:10.1016/j.ijsu.2017.06.085

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ゆた
理学療法士・博士(医学)
大学病院で、がん専門領域のリハビリテーションを行っています
がんリハビリテーション(がんリハ)について、一緒に学んでいきましょう

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